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読書感想4:「養護施設と子供たち」

養護施設職員の視点から、彼らが共に過ごした子供たちについて具体的な事例を挙げて述べていく本。

まず驚いたのが、児童養護施設の子供たちで両親がいない場合(いわゆる孤児)は少なく、多くの子供が片親がいるが、家庭で育てることができなくなり、預けられているということ。

失業し酒浸りになった親、育児に過度なストレスを感じてしまう親、

借金取りに追われ家に帰ってこれない親、望まない出産だったといい子供を恨む親、

そういった親が養護施設に子供を預けに来るのだ。

しかし、子供たちの親に対する感情は恨みだけではない。

子供たちにとってはどんな親でもたった一人の親であり、大切な存在なのだ。

親への憎しみや失望を抱えつつも、なかなかつき離すことができない。

子供が一番求めているものは、やはり温かい家庭、家族なのだ。

 

子供たちの中には、その壮絶な幼少期の影響から、大人を信じられなくなっている子もいる。複雑な環境は子供たちの心に心理的なストレスを与える。

養護施設の職員は、子供たちとぶつかり合い、多くの汗と涙を流しながら、

徐々に信頼関係を築いていく。とても大変な仕事だと思う。

勤務時間は長く不規則で、精神的なストレスも大きいだろう。

実際、2,3年で多くの職員が退職してしまうらしい。

 

先日養護施設に学習ボランティアをしたいとの連絡をいれた。

まだ返事は返ってきていないが、少し考えが甘かったかもしれない。

生半可な気持ちで関わるとかえって傷つけてしまうかもしれない。

でも、関わらないままでいていいとも思わない。

 

児童養護施設職員の仕事が厳しいものになっている原因には、

職員数の不足があるようだ。戦後、徐々にその数は増えてきたが

児童へのきめ細やかな対応を考えるなら、児童養護施設の職員の数は決して十分ではない。

「職員が児童と関わる時間」を増やしつつ、「職員の労働時間を抑える」ことが重要なのだろう。その解決策は考えてみた。

①養護施設の存在の認知・理解を深め、正規職員ならびにボランティアの総数を増やす

恥ずかしながら、私は児童養護施設の実態についてこれまで全く知らなかった。

日本では負の部分を見せないようにするところがあると思う。

学校教育に養護施設の実態について学ぶ時間、高校生になれば幼児と遊ぶボランティア活動があってもいいのではないか。

また、大学生が募金ボランティアを街頭でよくやっているが、

多くは発展途上国向けのものだ。確かに絶対的貧困を解決することが重要ではあるが、自国の困っている人にも目を向けられるのではないだろうか。

②里親を増やして、施設内の児童数を減らす。

日本の里親の数は欧米に比べて圧倒的に少ないらしい。

この原因が何なのかはわからない。里親の不安を取り除く仕組みが充実していないのか、里親がどのようなものなのかがそもそも見えづらいのか、宗教に起因する養子への考え方の違いか、、

里親に引き取られた子供は家庭の温かさを感じることができるだろう。

③子供と向き合わない時間(雑務・事務)をIT、ロボティクスで減らす

保母さん、指導員の方ができるだけ子供たちと接する時間を増やすことができるように、それ以外のことで勤務時間が増えすぎないように、

ITやロボティクスなどのテクノロジーを利用することができるのではないか。

養護施設の実態もITの知識も乏しい私には、抽象的な提案しかできないが。。。

 

 加えて改めて実感したのが、お金の力だ。

養護施設の老朽化や狭さを改善するための建て直し、大学への進学支援など必要なことはたくさんあるが、何をするにしてもお金が必要だ。

解決策を提案することよりも、お金を少しでもあげることが役に立てるのだろうと感じた。そのお金は個人の寄付でしか提供できないのだろうか。

福祉をビジネスにすることは難しいだろうけど、価値の対価として資金を集めることはできないのだろうか。