読書感想6:ビッグデータと人工知能

もと日立の研究員が人間と機械(コンピュータ)の違いを強調し、近年のシンギュラリティや人間の仕事が奪われるという予想を批判する。

その上で、人工知能技術による影響も認め、人間の仕事は変化すると述べる。

あまり新たな学びはなかったが、人工知能に対する反応が欧米と日本で違うのは宗教や人間機械論が影響しているという話が納得感があり面白かった。

 

読書感想5:深層学習

深層学習を学ぶ上で絶対に読むべき本として紹介されていた本。

単純NN、多層NN、活性化関数の選び方、誤差逆伝搬法、勾配消失問題と理論の説明が多くの数式を交えながら続き、

勾配消失問題の解決の糸口となった自己符号化器、なぜ事前学習を行うと上手くいかないかは分かっていないことの説明。

その後、画像認識に使われる畳み込みNN、音声や画像認識に使われる再帰型NN、最後にボルツマンマシンの説明。

 

とにかく数式が多く、基本的な数学の知識や統制の知識がないとなかなか理解は厳しいと思ったが、問題によって様々なNNや活性化関数が用いられることがよくわかる。

 

個人的に深層学習を数式で理解するのに1番わかりやすかったのはこのブログです。

http://hokuts.com/2016/05/29/bp1/

読書感想4:「養護施設と子供たち」

養護施設職員の視点から、彼らが共に過ごした子供たちについて具体的な事例を挙げて述べていく本。

まず驚いたのが、児童養護施設の子供たちで両親がいない場合(いわゆる孤児)は少なく、多くの子供が片親がいるが、家庭で育てることができなくなり、預けられているということ。

失業し酒浸りになった親、育児に過度なストレスを感じてしまう親、

借金取りに追われ家に帰ってこれない親、望まない出産だったといい子供を恨む親、

そういった親が養護施設に子供を預けに来るのだ。

しかし、子供たちの親に対する感情は恨みだけではない。

子供たちにとってはどんな親でもたった一人の親であり、大切な存在なのだ。

親への憎しみや失望を抱えつつも、なかなかつき離すことができない。

子供が一番求めているものは、やはり温かい家庭、家族なのだ。

 

子供たちの中には、その壮絶な幼少期の影響から、大人を信じられなくなっている子もいる。複雑な環境は子供たちの心に心理的なストレスを与える。

養護施設の職員は、子供たちとぶつかり合い、多くの汗と涙を流しながら、

徐々に信頼関係を築いていく。とても大変な仕事だと思う。

勤務時間は長く不規則で、精神的なストレスも大きいだろう。

実際、2,3年で多くの職員が退職してしまうらしい。

 

先日養護施設に学習ボランティアをしたいとの連絡をいれた。

まだ返事は返ってきていないが、少し考えが甘かったかもしれない。

生半可な気持ちで関わるとかえって傷つけてしまうかもしれない。

でも、関わらないままでいていいとも思わない。

 

児童養護施設職員の仕事が厳しいものになっている原因には、

職員数の不足があるようだ。戦後、徐々にその数は増えてきたが

児童へのきめ細やかな対応を考えるなら、児童養護施設の職員の数は決して十分ではない。

「職員が児童と関わる時間」を増やしつつ、「職員の労働時間を抑える」ことが重要なのだろう。その解決策は考えてみた。

①養護施設の存在の認知・理解を深め、正規職員ならびにボランティアの総数を増やす

恥ずかしながら、私は児童養護施設の実態についてこれまで全く知らなかった。

日本では負の部分を見せないようにするところがあると思う。

学校教育に養護施設の実態について学ぶ時間、高校生になれば幼児と遊ぶボランティア活動があってもいいのではないか。

また、大学生が募金ボランティアを街頭でよくやっているが、

多くは発展途上国向けのものだ。確かに絶対的貧困を解決することが重要ではあるが、自国の困っている人にも目を向けられるのではないだろうか。

②里親を増やして、施設内の児童数を減らす。

日本の里親の数は欧米に比べて圧倒的に少ないらしい。

この原因が何なのかはわからない。里親の不安を取り除く仕組みが充実していないのか、里親がどのようなものなのかがそもそも見えづらいのか、宗教に起因する養子への考え方の違いか、、

里親に引き取られた子供は家庭の温かさを感じることができるだろう。

③子供と向き合わない時間(雑務・事務)をIT、ロボティクスで減らす

保母さん、指導員の方ができるだけ子供たちと接する時間を増やすことができるように、それ以外のことで勤務時間が増えすぎないように、

ITやロボティクスなどのテクノロジーを利用することができるのではないか。

養護施設の実態もITの知識も乏しい私には、抽象的な提案しかできないが。。。

 

 加えて改めて実感したのが、お金の力だ。

養護施設の老朽化や狭さを改善するための建て直し、大学への進学支援など必要なことはたくさんあるが、何をするにしてもお金が必要だ。

解決策を提案することよりも、お金を少しでもあげることが役に立てるのだろうと感じた。そのお金は個人の寄付でしか提供できないのだろうか。

福祉をビジネスにすることは難しいだろうけど、価値の対価として資金を集めることはできないのだろうか。

 

 

読書感想3:問題解決プロフェッショナル

内定先の課題本の一つである本。

<思考編>

「ゼロベース思考」

・自分の狭い枠の中で否定に走らない

・顧客にとっての価値を考える

「仮説思考」

・アクションに結び付く結論を常に持つ

・結論に導く背後の理由やメカニズムを考える

・ベストを考えるよりもベターを実行する

<技術編>

MECE

「ロジックツリー」

と最初に2章で問題解決の基礎知識を説明した後、

それを組み合わせたソリューションシステム(課題設定→仮説設定→仮説検証)

の説明、最後に著者が実際にソリューションシステムを使って、

企業の問題を解決した事例を紹介する本でした。

 

個人的には、常に結論をもつというのは納得。

結論なしにデータ集めをすると無駄なデータを集めることに時間を使い過ぎてしまう。

これは就活のインターンで何回も実感したこと笑

 

読書感想2:ケインズとハイエク

ケインズハイエクの経済理論と二人の人生の交わりを描いた本。

ケインズの主張する「大きな政府」は、公共投資を拡大することで、

雇用率を改善し、不況を脱するべきだというもの。

ハイエクの主張する「小さな政府」は、不況は決して避けられないものであるから、

何もせずにじっと耐えるべき。公共投資の増大は、政府の財政赤字の拡大、

インフレをもたらすというもの。

世界不況の際、ケインズの理論が支持されたそうだが、

それは人間の「困難を乗り越えていこうとする本能」が、

「不況時は何もせずにただ耐える」というハイエクの理論に反するからなのでは?

印象的だったのが、ハイエクがインフラ整備に加え、貨幣の発行も民間に

任せるべきだと考えていた点だ。

最近、ビットコインという民間企業による新たな貨幣が登場している中で、

何らかの示唆を与えてくれそうで、彼の貨幣発行に関する論文を読んでみたくなった。。。

読書感想1:ルポ児童相談所―一時保護所から考える子供支援(慎 泰俊)

読書感想:ルポ児童相談所―一時保護所から考える子供支援(慎 泰俊)

 

著者が数多くの取材や養護施設出身者との交流を通して感じた、

一時保護所(児童相談所に保護された児童が一時的に生活する場所)

の問題点を指摘し、その解決策を提示する本。

 

<感じたことの羅列>

・誰からも必要とされない、受け入れられない少年。。。

親に育児放棄され、児童養護施設に入所したものの、施設内で暴力事件と性加害を

起こしてしまった少年は、一時保護所に戻ってきた。その後の彼の行先を検討するが

他の養護施設も里親家庭も受け入れる意思がないという例が紹介されていました。

文字通り誰からも必要とされない少年の境遇に胸が痛くなりました。

彼が問題を起こしてしまうのは、誰からも愛を受けられなかったから。

無責任な大人のせい。彼は生涯この社会を恨み続けると思います。

 

ひとり親家庭の子供の貧困率は、OECD加盟国(35か国)の中でワースト一位

ワースト一位という事実に驚きました。日本ではシングルマザーが働き口を探すのが難しく、年収も低くなっているようです。こういった家庭では子供の教育に十分なお金をかけることも難しいと思います。何の不自由もなく塾に通わせてもらい、留学まで行かせてもらった自分は本当に恵まれている。学歴はその人の努力をうつしだすものだと思っていましたが、そもそも十分な教育を受ける機会さえもない人がいるのだと改めて思い知らされました。今、個別指導塾で講師のバイトをしているですが、児童養護施設の子供たち向けの学習支援ボランティアをして、少しでも力になりたいという気持ちがわきます。ただ、就職するまでの短期間のボランティアは子供たちに「あの人も自分たちから離れていくんだ」という感情を抱かせてしまいそうで、そのあたりはどうなのかを確認しなければと思います。

貧困率は所得の中央値の半分

 

 

・日本政府による教育向け支出はOECD各国で最低水準

子供の貧困率は、政府の家族向け支出や教育向け支出の大きさと相関しているそうですが、日本は教育向け支出も、家族向け支出も非常に低い水準のようです。

少子高齢化が進み、高齢者向け支出が増える中で、子供向け支出を拡大するのは難しいのでしょう。第一、最近祖母と話している際に、高齢者もかなり生活が苦しくなっているようです。実際、祖母の知人の老夫婦は月8万ほどの年金で暮らしているそうで、家財なども手放したり新聞の購読を辞めたりしているそうです。

このような事実を知る中で、日本社会に対する危機感が大きくなってきました。

日本の一人当たりGDPの順位はいまや20位前後、人口減少による国内経済の縮小、

高齢化による社会保障費の拡大、また機械学習や深層学習などのテクノロジーによって

失業する人が増え格差が増大するおそれ、格差が増大すれば相対的貧困者の比率が高まり、満足に教育が受けられない子供が増える、でも子供向け支出は増やせない。。。

このままでは日本はやばいんじゃないか。。

4月から社会人になる自分もこの国のために何か貢献したいです。

起業して会社を成長させ税金を納め雇用を創出する、経営コンサル会社に就職するのでコンサルタントとして日本企業の成長に貢献する、地方出身なので特に地方の中小企業の成長にも貢献したい、NPOに参加して直接社会問題の解決に取り組むこともできるでしょう。すごい人間じゃないけど何かできるはずだと信じて、頑張ります。

 

とまあ、この本の主題より、細部のデータに目が留まってしまい、本の魅力を伝える記事にはなっていませんが、とてもいい本でした。